Vientoと沖ノ島

◇神の島 沖ノ島の特番

2015年12月13日、福岡県のテレビ局RKB毎日放送制作による「天空の記憶 又吉直樹 神の島をゆく」がTBS系列で全国放送された。2017年の世界文化遺産登録を目指す国内候補に決定した沖ノ島を、これまでにないほど島の深部に入り込んで取材した番組として高く評価された。また、沖ノ島だけではなく九州本土の宗像大社と大きな関りを持ち、沖ノ島の発掘調査に尽力した出光佐三にもスポットを当てる。出演は芥川賞作家「又吉直樹」直木賞作家「西加奈子」。これまで謎に包まれていた沖ノ島を全国にオンエアできたのは極めて異例の出来事であった。

◇特番の音楽を担当

Vinetoが沖ノ島とつながるきっかけになったのはまさにこの特番。全編においてサウンドトラックを手掛けたことによる。
RKB毎日放送とはかねてより九州各局でオンエアされた「新・九州遺産」などの番組で楽曲を提供していた縁もあり、九州の遺産である沖ノ島の特番で楽曲を担当することになる。
RKB毎日放送「天空の記憶 又吉直樹 神の島をゆく」
⇒ アルバム「断崖の翼」に収録
RKB毎日放送「新九州遺産」
⇒ アルバム「風の旅」に収録
Viento(ヴィエント)
熊本阿蘇を拠点に活動するミュージシャン
阿蘇の風景が目に浮かぶような印象的なサウンドを奏でる。2001年の活動開始から17枚のアルバムをリリース。2016年4月には熊本地震の被害を受けるが、避難生活を経て活動を再開。
活動拠点:熊本県阿蘇郡西原村
ケーナ・オカリナ:吉川万里
シンセサイザー・作曲:竹口美紀
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沖ノ島を主題とした楽曲

海都ムナカタ
波の音、銅鑼の音でこの曲の幕が開ける。福岡県宗像市はかつて大陸へつながる都であった。海でつながった交易と文化の都、いにしえの宗像…ムナカタを想い壮大なテーマを曲に込める。大陸から渡った打楽器チャングの音は小粒な音色でありながら曲にしっかりと異国情緒を織り込む。コーラスで参加するのは熊本で活躍するヒーリング系ヴォーカリスト「川原一紗」とクラシックソプラノ歌手「福嶋由紀」。二人の澄んだ高らかな声が、海の広さを清々しい空をイメージさせる。曲の中に1フレーズだけ詠まれたこの歌詞「いざゆけ 果てなく続く未知の海を越えて 陽の登る 豊かな瑞穂の国へ」は幾千年の時を越えてなお、心に刻まれた何かを揺さぶる気がする。
天空の記憶 TBS特番『又吉直樹 神の島をゆく』
オープニングテーマ
TBS特番として全国放送された番組『又吉直樹 神の島をゆく』において美しいオープニング映像を司ったこの曲。沖ノ島に伝わる伝説と自然遺産をイメージに刻み込む。主題は休符の使い方がとても巧で荘厳な雰囲気を創り上げている。川原一紗のコーラスがまた美しい。
波斯 ペルシャ
神の島・沖ノ島からはシルクロードを介してわたってきたペルシャガラスが発掘されている。作曲した竹口美紀曰く「沖ノ島に流れ着いたペルシャガラスを通して、遠き異国のラクダの歩みに想いを馳せました」という。Vientoでは初登場となるハープの響きがシルクロードを彷彿とさせる。そう、人類は遥か昔から現代人が思っているより広く遠く往来をしていたのだろう。
波濤に挑む
沖ノ島が浮かぶ玄界灘は海流が荒く、冬は季節風でとても荒れる海。この海を越えるには相当の覚悟がいるであろう。沖ノ島に祈りを込めて大陸へと赴く船乗りたちの意気込みと奮闘が伝わってくるかのような曲である。この曲では和太鼓の演奏が曲に力強さを吹き込む。低音がしっかり再現できるオーディオで楽しんでほしい一曲である。
かのこゆり
福岡県宗像市の花であるカノコユリ。清楚で可憐な姿にインスピレーションを受けてできた曲。花のイメージを吉川万里がオカリナで奏でる。シンプルなメロディーとシンプルなアレンジがカノコユリの姿をまるで印象派の絵画のように描き出す。
神宿る島 TBS特番『又吉直樹 神の島をゆく』
エンディングテーマ
この曲もTBS特番『又吉直樹 神の島をゆく』のエンディング曲。吉川万里のケーナは裏方に徹し、ソプラノ歌手「福嶋由紀」の歌声を神々しく前面に押し出す。神の島 沖ノ島をテーマとするにふさわしい美しさと荘厳さを併せ持つ楽曲。
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Viento